水の円

 

ゼロが水のうえを泳いでいました

これは円だとぼくらは言いました

だれかが水に石を投げいれたにちがいありません。

ここをペーチカ・プローホロフが散歩していました

これは靴釘のついた彼のブーツの仕業です。

あの人がこの円を創ったんです

早く紙と絵の具をください

ペーチカの創ったものを描いてあげましょう。

そうしたらプローホロフがプーシキンみたいに思えますよ。

そうして何年もすれば

あとの世代の人たちはこう考えるでしょう。

「昔いたプローホロフという人は、

きっとえらい芸術家だったんだろう」

そして子どもらにこう教えるでしょう。

「子どもらよ水に石を投げいれなさい。

石が円を生みだすだろう、

その円は思考を生みだすだろう。

円に呼びだされたその思考は、

ゼロを闇のなかから光のほうへ呼び招くだろう」

 

おしまい

 

1933年9月19日火曜日